SHIPBUILDING INDUSTRY 造船業とは

造船業とは、タンカーやコンテナ船、客船などの船舶を設計・建造・修理する産業です。
広大な敷地と巨大な設備を備えた造船所で、50万点にも及ぶ部品を一つひとつ組み立て、完成した船を海へ送り出す「進水」作業を行います。
海運を支える重要な物資輸送手段であり、島国である日本にとって、経済や安全保障の面からも欠かすことのできない産業です。

造船業の流れ

造船業では、まず船の設計図をもとに部材を加工し、船体を構成するブロックを組み立てます。
その後、船台やドック上でブロックを結合し、船体を形にしていきます。
完成間近になると進水作業を行い、船を海に浮かべた後に艤装を施します。
艤装では、エンジンや操縦装置、居住区や配管・電気設備など、船として必要なすべての装備を取り付け、運航可能な状態へと仕上げます。
当社では、船づくりの中でもブロック組立から艤装までの重要工程を一貫して手掛けており、確かな技術と経験で船の完成まで責任を持って取り組んでいます。

ブロック組立て
船体を構成する大きな「ブロック(部分構造体)」を造る工程です。
切断・加工された鋼板や部材を、あらかじめ設計された寸法・形状に基づいて溶接・接合し、数トン〜数十トン単位のユニットを組み上げます。
各ブロックは一戸建ての家ほどの大きさ・重さになることもあり、精度の高い溶接、重機による搬送、3D測定器での寸法検査などが求められます。
この工程により、船体全体を効率よく組み立てる「ブロック建造方式」が実現します。
船台・ドック上建造
事前に組み立てられたブロックを「船台(傾斜台)」または「ドック(浸水式造船台)」上に据え付け、船体の最終形状を建造する工程です。
ブロック同士の結合、溶接と検査、機器・設備の位置確定などを行いながら、船の骨格が完成形に近づきます。
傾斜船台では完成後に海に滑り出すための仕上げ作業も含まれます。
進水
船体がほぼ完成した段階で、造船所のドックに海水を入れ(または船台から海に滑り出し)、船を初めて浮かべる儀式的かつ技術的な工程が「進水」です。
このとき、船は岸壁またはポンツーンに係留され、初回浮力を確認し、船体の構造強度・曲がり・傾きなどがチェックされます。
進水は、新造船の“航海を始める第一歩”を象徴する瞬間です。
艤装(ぎそう)
進水後、船に必要な内装・外装・機器・配管・電気系統・装備などを取り付け、船として機能させるための仕上げ工程です。
例えば、エンジンや推進装置、操縦室、居住区、配管ネットワーク、電気ケーブル、通信機器、塗装仕上げなど、多岐にわたる作業があります。
これにより「形」だけの船から「運航可能な船」へと生まれ変わります。
この工程は、品質・安全・耐久性の観点からも極めて重要です。